東京高裁平成24年5月31日判決
東京高裁平成24年5月31日判決
貸付中止措置と時効
貸付中止措置の時点から消滅時効が進行するとの貸金業者の主張を否定し、時効は成立せず、過払い金の請求を認めた裁判例です(消費者法ニュース93号)。
過払い金の消滅時効10年が、いつからスタートするかという点について、全国で争われています。
その中で、アコムなどの貸金業者は、取引の途中であっても、信用状態が悪化したことにより新規の貸し付けを中止した時点から、過払い金の時効はスタートすると主張してくることがあります。
このような主張が認められてしまうと、最終貸付があり、その後、何年間も返済だけを続けているような取引の場合に、返済から10年経っていないにもかかわらず、過払い金は時効になって請求できなくなる可能性があります。
この裁判例の事件でも、平成11年3月異国は、貸付中止措置により新たな借り入れがない一方で、平成17年まで返済を継続していたことが認められています。
しかし、業者側の対応で、貸付中止措置がされても、その後、新たな貸付がされることはあります。この裁判例の事件でも、平成5年頃に貸付中止措置がとられた一方で、平成8年には新規契約という形で再度借り入れができています。
そうだとすれば、貸付中止措置というものがあっても、また借り入れができる可能性はあると、考えることがあるでしょう。
この裁判例でも、このような理由から、貸付中止措置だけでは時効は進行しない、過払い金の請求は認められると判断しています。
業者からこのような主張をされても、あきらめないでください。