最判平成27年6月1日判決
最判平成27年6月1日判決
過払い金と債権譲渡
過払い金に関する判決で、途中で貸金業者が変わっている場合の話です。
その変更の方法として、貸金業者が、借主に対する権利を新しい業者に対して、債権譲渡するケースがあります。
そのような債権譲渡の際に、「異議をとどめない承諾」が問題視されることがあります。
これは、借主が債権譲渡の際に、異議を言わずに承諾した場合、その債権について、何か言い分があっても、通らなくなってしまうというものです。
過払い金に関しては、貸金業者が借主に対する権利を債権譲渡するといっても、グレーゾーン金利によって、実はその権利は、額面より低い金額であったり、完済されていて過払い状態であったりすることもあります。
そのような場合でも、借主が「異議をとどめない承諾」をしていると、そのような主張ができなくなり、額面の借金を支払わなければならないのかが問題になりました。
この点について、最高裁は、債権の譲受人について、対抗できた事由(グレーゾーン金利)について知らなかったとしても、過失がある場合には、借主は引き続き譲受人に対しても、主張ができると判断しました。
つまり、貸金業者が債権譲渡で変わったとしても、新しい業者に過失があれば、グレーゾーン金利の主張はできるという内容です。
「債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において,譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても,このことについて譲受人に過失があるときには,債務者は,当該事由をもって譲受人に対抗することができると解するのが相当である。」
では、どのような場合に過失があるとされるかが問題になってきますが、新しい業者は貸金業者でしょうから、通常は、利息制限法のことは知っています。
そうすると、グレーゾーン金利部分については、相当のことがない限り、過失があったとされ、借主が異議なき承諾をしていても、引き続き主張ができるのではないかと考えます。