アコム利率変更と過払い金
東京高裁平成30年11月29日判決
アコム利率変更と過払い金
アコムの過払い金裁判の紹介です。
東京高裁平成30年11月29日判決。
アコムに対して過払い金の請求をしたところ、アコムが争ってきたという内容。
アコム側の主張は、
平成19年に利率変更、利息制限法の範囲内の利率に変更した、これによってグレーゾーン金利解消の意思があり、過去のグレーゾーン金利の取引を終了させる意思があった→平成19年前の取引は分断、過去の取引は時効
最判平成15年7月18日によって、民法136条2項但し書きの話があり、利息制限法の範囲内の取引では、期限までの利息に対する貸主の期待も保護されるべきと充当を否定すべき
というものでした。
アコムも、過払い金取引について、次々と新しい法的主張を生み出してくる業者ですね。
利息制限法の範囲内の利率に変更したからといって、ただちに分断が認められるものではありません。
判決では、空白期間が0日であることなどから、充当合意を認定。
平成19年以前の取引で発生した過払い金も、平成19年以降の取引に充当される計算を採用しています。
また、最判平成15年7月18日の理論は、本件のような1本の契約の場合には適用されないとしています。
最判平成15年7月18日は複数取引が併存していた事案です。
「控訴人は、最高裁判所平成15年7月18日第二小法廷判決・民集57巻7号895頁の説示を反対解釈して、利息制限法の制限金利内の取引については、民法136条2項ただし書の原則に戻って、貸主の元本に対する期限の利益を保護することが必要となる旨の主張もするが、同判決は、いずれもリボルビング方式で行われた金銭の消費貸借取引に関し、利率等の変更の前後の取引を1個の連続した取引とみるべきか否かについて判断したものではないから、控訴人の上記主張は、同判決の説示から導かれるか否かにかかわらず、本件には妥当しない」