レイクの過払金の判決
大阪地方裁判所令和5年7月27日判決
新生フィナンシャル過払い金と貸付停止
レイク・新生フィナンシャルに対する長年にわたる借金の返済に疲れを感じていませんか?
あなたのような状況にある多くの人が、過払金の存在を知らずに余計な負担を背負っています。
過払金の請求をする際、取引を止めていた期間があると、それを理由に過払い金の返還を拒まれることもあります。
そのような場合には、裁判例の現状を知っておくことが有効です。
今回は、レイクブランドを展開している新生の過払い金で、2年以上の空白期間があっても過払い金の請求を認めた裁判例を紹介します。そのポイントを押さえることで、自分の請求が通りそうか、検討できるでしょう。
大阪地方裁判所令和5年7月27日判決です。
レイク過払い金判例の概略
この判例の内容をまとめると以下のようになります:
訴訟では、同一の基本契約に基づく2つの取引(第1取引と第2取引)における過払金の問題が審理されました。
第1取引(2年4ヶ月)終了時に51万2874円の繰上一括返済があり、第2取引(14年10ヶ月)開始までの間に2年3ヶ月の取引中断期間があったという内容です。
被告は新生フィナンシャル株式会社。新生フィナンシャルは、取引が分断していると主張し、消滅時効を援用。
裁判所は分断を否定
最高裁判決を踏まえ、2つの取引は1個の基本契約に基づいていると判断。
2年3ヶ月の空白期間は、第1取引の期間と比較して長期ではないと認定。
新生フィナンシャルは第1取引終了後も継続的に取引の勧誘を行っており、取引を終了する意思が当事者間で示されていたとは認められないとしました。
なお、利率の変更は、利息制限法の制限利率の限度に基づくものであり、異なる合意とは解されない。
結果として、裁判所は、被告(新生フィナンシャル株式会社)に対して、182万0056円及びそれに対する年5分の割合の遅延損害金の支払いを命じています。
裁判例の重要ポイント
一連の取引が同一の基本契約に基づいている場合、取引の中断や一括返済があっても、過払金が一連一体として扱われる可能性があります。
取引中断期間が相対的に短い場合、取引が分断されているとは認められないこともあります。
中断時の勧誘が取り上げられていることからすると、そのような事情があるなら主張・立証しておくべきといえます。
第1取引終了時に51万2874円の繰上一括返済がなされている点、カード破棄、第2取引時に与信審査があった点などは借主に不利な事情、空白期間も1年以上と、借主に不利な判断がされてもおかしくない事案ですが、過払い金の請求を認めている判決となっています。
新生フィナンシャルの主張
同一の基本契約に基づく取引ではあるが、
①第1取引と第2取引との間に2年3か月の取引中断期間があること、
②第1取引終了時に51万2874円の繰上一括返済がなされていること、
③第1取引終了後に原告がカードを廃棄していて第2取引再開時にカードの再発行手続がなされていること、
④第2取引開始時に与信審査を行っていることなどから、
原告には第1取引終了時に取引を終了させる意思があり、取引は分断しているとして、消滅時効の援用を主張。
裁判所の判断理由
同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借契約において、借主がそのうちの一つの借入金債務につき制限利率を超える利息を任意に支払い、この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合、この過払金は、 当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り、弁済当時存在する他の借入金債務に充当されると解するのが相当。
これに対して、弁済によって過払金が発生しても、その当時他の借入金債務が存在しなかった場合には、上記過払金は、その後に発生した新たな借入金債務に当然に充当されるものということはできないと指摘。
しかしながら、この場合においても、少なくとも、当事者間に上記過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)が存在するときは、その合意に従った充当がされるものというべきである
と最高裁判所平成19年6月7日第一小法廷判決の確認をしています。
本件第1取引と本件第2取引との間には、約2年3か月の空白期間があり、
原告は、本件第1取引について、平成16年9月22日、51万2874円を弁済して借入残高をゼロにしたこと、
取引に用いたカードを廃棄していたこと、
被告が本件第2取引の開始に当たり、与信審査を行ったことが認められると指摘。
しかし、本件第1取引と本件第2取引は、上記のとおり過払金充当合意が存在する1個の基本契約に基づいた取引であること、
本件第1取引と本件第2取引との間の約2年3か月の空白期間は、それ自体も、また、本件第1取引の期間(2年4か月)と比べても、それほど長期とまではいえないこと、
被告は、平成16年9月23日以降、原告に対し、継続的に取引の勧誘を試み、被告が取引の勧誘の電話をした2か月後に原告が入用になったとして新たな借入れをしたこと、
被告は、本件第1取引終了後も、原告のカードの失効手続をしておらず、原告から「再利用」を理由としてカードの再発行を依頼されて初めて、旧カードを失効させ、再発行手続を行っていること、
被告は、本件第2取引の開始に当たり、与信審査を行っているが、その結果属性変更なしとして処理していることからすれば、本件第1取引の終了時点で、取引を終了することが当事者間で示されていたとは認められないと認定。
被告は、本件第1取引と本件第2取引の利率は異なっていると主張。しかし、本件第1取引の利率は29.2パーセントであり、本件第2取引の利率は18パーセントであると認められるが、これは、利息制限法の制限利率の限度としたものと考えられ、従前と異なる合意をしたものとは解されないとしました。
以上を総合すると、本件第1取引と本件第2取引について、過払金充当合意が存在するものと認められ、本件取引全体について一連一体のものと認めるのが相当であるとしています。
レイクに対する過払金のご相談は以下のボタンよりお申し込み下さい。