錯誤無効の主張
消滅時効に対する主張・錯誤
消滅時効の主張
過払い金の裁判では、貸金業者側から、「過払い金は消滅時効にかかっているから、請求できない」という主張がされることがあります。
過払い金を返せ、という権利が、不当利得返還請求権だとすると、民法167条1項に「債権は、十年間行使しないときは、消滅する。 」と書いてありますので、10年間で時効にかかるという主張がされるわけです。
具体的な場面としては
基本契約などが2つに分断されるとの主張がされ、最初の基本契約の完済により過払い金が発生しているが、分断されるため、2つ目の基本契約には充当されない、1つ目の基本契約が終了してから10年経過しているため、時効である、という主張がされることがあります。
錯誤無効の主張
このような取引分断・消滅時効の主張に対して、2つ目の基本契約による借入は錯誤により無効だったとの主張をすることが考えられます。その後、相殺を主張してしまおうという内容です。
1つ目の基本契約で、過払い金が発生していると消費者が知っていたなら、2つ目の基本契約の借入はしなかったでしょ?という主張です。2つ目の契約の借入をするということは、お金が必要だったということですが、過払い金の請求ができると知っていたなら、そちらの請求をすることで、お金を受け取ることはできたはずです。それを知らなかったからこそ、高利の借金をしてしまったという内容の主張です。過払い額と借入額の比較など、いくつか検討しないといけませんが、興味深い主張です。
民法95条「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。」
民法上、錯誤というのはなかなか認められない主張ですが、場合によっては、さらに詐欺等の主張も考えられるでしょう。
期間等の要件を満たすなら、2つ目の基本契約に対して、消費者契約法の取消を主張するという方法もありますね。